先生。あなたはバカですか?

「早く。ホラ」


「!?!?」


まだ放心状態の中、川島君に掴まれた右腕は高々と掲げられて、


それと同時にみんなの視線が勢いよく私に突き刺さった。



「お!?一番手は生田川島ペアか!?」


峰山先生の胡散臭い実況中継とは裏腹に、その隣では岩田先生が無表情で私と川島君を見ている。


なんだろ。


なんか目つきがいつにも増して鋭い気が…。



「じゃあ、こっちに来て回答用紙を下さーい!一問でも間違ってたらやり直しだからねー!まぁ、そんなに簡単に全問正解出来る内容じゃないけどな!」


峰山先生は腰に手を当てて、自信たっぷりに鼻を膨らませる。


「行くよ。生田さん」


「あ。うん」




採点をするのは、どうやら岩田先生らしい。


峰山先生は、どう?と言いながらそれを覗き込んでいる。



なんだか少し緊張するわ…。



伏せられていた岩田先生の長い睫毛が動いて、ゆっくりとこちらに瞳を向ける。


その目が一瞬合った気がして、心臓がドクッと音を立てる。


この人をこんなにじっくりと見たのは、初めてかも…。



「全問正解。」



その言葉で、私ははっと我に返った。

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