“Three Years”isn't so long
“Three years ”is...
「3年ってさ」
暗闇の中、界人が呟く。
「意外と短いんだよね」
小狭いコタツの中で並んで身を寄せ、寝転ぶ私と界人。
「バンド続けてみて分かったんだ。きっとバンドに限ったことじゃないと思うんだけど、まず、3年っていうのは最初、暗いトンネルみたいな感じ。前も後ろも分からなくて、自分がどこまで進んだかも、どこまで進んでいいのかも、どこまで進めるのかも、全然分からなくって。辞めていいかどうかも分からなくってさ」
私の左手と、界人の右手は、いつの間にかピタリと繋がれていた。
「最初の3年は、『辞めないで頑張る方法』を探す旅なんだよね」
「ハハ。界人らしい解釈」
私がそう言うと、界人も「ハハハ」と、声を出して笑った。
「3年頑張ると、いきなりトンネルを抜けるわけ。そしたらさ、スゴイんだよ。急に目の前いっぱいに道が広がってんの。どれもピカピカ輝いてて、眩しくてしょうがないのさ。しかも、どの道もすっげー遠くまで続いてて。地平線の彼方まで道がずーっと伸びてるわけ。で、『ヤバ!これ1コ進むのに何年かかるんだ?』って思って、ふっと後ろを振り返るとさ」
「最初のトンネルが、やけに短く感じる?」
「そう!それ!さすが美和!」
明るい界人の声が、耳元で朗らかに響く。
界人は私よりもずっとずっと、あのセリフを大事にしてくれていた。大切に、心の内に留めておいて、素直に、真っ直ぐ、実践して。本当だったと、私に語る。嬉々とした、子供のような表情で。
「だから思ったんだ。何かを始めるんなら、『3年』やるって。そうしないともったいないって。そう思えるから、今は何か始めるたびにワクワクするし、始めてちょっとして『ダメかも』って思っても、全然頑張れる」
無邪気な可能性のかたまりが、未来へ思いを馳せている。
けれども、もう私の心はざわつかない。
界人のすごさを目の当たりにして、「それに比べて私は」と、沈んだ気持ちにもなりはしない。
暗闇の中、界人が呟く。
「意外と短いんだよね」
小狭いコタツの中で並んで身を寄せ、寝転ぶ私と界人。
「バンド続けてみて分かったんだ。きっとバンドに限ったことじゃないと思うんだけど、まず、3年っていうのは最初、暗いトンネルみたいな感じ。前も後ろも分からなくて、自分がどこまで進んだかも、どこまで進んでいいのかも、どこまで進めるのかも、全然分からなくって。辞めていいかどうかも分からなくってさ」
私の左手と、界人の右手は、いつの間にかピタリと繋がれていた。
「最初の3年は、『辞めないで頑張る方法』を探す旅なんだよね」
「ハハ。界人らしい解釈」
私がそう言うと、界人も「ハハハ」と、声を出して笑った。
「3年頑張ると、いきなりトンネルを抜けるわけ。そしたらさ、スゴイんだよ。急に目の前いっぱいに道が広がってんの。どれもピカピカ輝いてて、眩しくてしょうがないのさ。しかも、どの道もすっげー遠くまで続いてて。地平線の彼方まで道がずーっと伸びてるわけ。で、『ヤバ!これ1コ進むのに何年かかるんだ?』って思って、ふっと後ろを振り返るとさ」
「最初のトンネルが、やけに短く感じる?」
「そう!それ!さすが美和!」
明るい界人の声が、耳元で朗らかに響く。
界人は私よりもずっとずっと、あのセリフを大事にしてくれていた。大切に、心の内に留めておいて、素直に、真っ直ぐ、実践して。本当だったと、私に語る。嬉々とした、子供のような表情で。
「だから思ったんだ。何かを始めるんなら、『3年』やるって。そうしないともったいないって。そう思えるから、今は何か始めるたびにワクワクするし、始めてちょっとして『ダメかも』って思っても、全然頑張れる」
無邪気な可能性のかたまりが、未来へ思いを馳せている。
けれども、もう私の心はざわつかない。
界人のすごさを目の当たりにして、「それに比べて私は」と、沈んだ気持ちにもなりはしない。