ソファーに並んで
急に真剣な顔色に変わる要、どうしても気になる点がいくつかある…
「この前に見たんだけど…千尋とスゲー親しげだったな?…というか善一朗はどこまで知ってるんだ?いや…いつから?なんで?」
要の問いに対し冷静な善一朗
「うーん…どこから説明しようかな…じゃあ先ず…」
ここで千尋が善一朗の発言を遮る
「ごめんなさい、善一朗くん…ここは私から説明した方が良いと思うの」
一度だけ頷き、どうぞと手を出す
「昨日の今日だから全然説明出来てなかったわね…でも要、心配してくれるのは嬉しいけど善一朗くんは何も悪くない…むしろ私からすれば恩人で、たった一人の理解者だったの」
要は意味をのみ込めない様子…千尋は顔を赤くしながら説明を続ける
「私が律の事を想ってるって、あなたたち以外に初めて気付いて協力してくれた存在なの…律に関する事を色々教えてくれて、ひとつ知る度に私は律をもっと好きになった」
だんだんと理解した要
「だから、あの時に嬉しそうに笑ってたのか…」
会話の流れで善一朗は察した
「何があったか、なんてヤボな事は聞かない、でも良い進展はあったみたいだね」
昨日の幸福をもう一度確かめる様に、4人は瞳を閉じウンウンと頷く…
「律を観ていると僕自身の未熟さが浮き彫りされる…色々な事を学べる、そして千尋の想いにも気が付いた…そんなところだよ……僕も律に惹かれていたのかもしれないな」
決して悪意は無いが明音がサラッと善一朗に言う
「もしかして、橘センパイはゲ…」
発言の途中を善一朗は遮る
「違うよ」
どこか残念そうな明音…
「そうですか…お姉ちゃんたちと同じクラスって知って、私に相談してくる女の子はもちろんですけど男の子もけっこういるんですよ…」
それを聞き、苦笑いになる
「気持ちだけはありがたいとしか言えないな…実際にそういう告白をされた事もあるし」
ちゃんと話は聞いていたが律は言った
「僕は善の事、好きだよ?」
姉妹は一瞬ドキッとした、更に善一朗はあたり前のように返事をする
「うん、ありがとう…僕もだよ、律」
その傍ら
「ちょっと待て…俺はその100倍、律が好きだぞ!」
どんどん危険?な方向へ話が向かう…明音の脳内に妙なイメージが広がる
「一人の人間としてだよ」
自分の問題発言を一言でオチをつける律、最初から承知で返事をした善一朗、要は何か勘違いしたままだ
「あっ!そろそろ私戻るね、午後から移動教室だから!では橘センパイもまたっ!」
明音は元気よく走って行った
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