ソファーに並んで
すごく綺麗な人…それが律の感じた第一印象、女性にしては長身でいて細身、整った顔立ちに合った長い黒髪に、どこか吸い込まれそうな澄んだ瞳…
「律の髪切って下さい!源さん!」
要が声を発するまで魅とれていた…目を奪われるというのは、こういう事を指すのだろう
「…あ…初めまして…律です」
まだ立ち上がれない律を、ふむふむと品定めをする様に一周し正面で止まる、次に片膝を床に着き顔を近付け律の髪を触りながら言う
「失礼…体格は全然違うけど…へぇ~ホントに同じ顔なのね?双子なら当たり前か…律ちゃんね…私の事は、“源さん”て呼んでね…髪質も…見れば見るほど…いい…いいわ…いいじゃないの…フフッ」
何か危ない空気の人…だが不思議と澄んだ瞳にまた律は引き込まれる…
「律ちゃん、ちょっと待っててね?」
源は要へ手招きをして律に背中を向ける
「ねぇ?要ちゃん…こんなダイヤの原石を…何で今まで隠してくれてたんじゃい!?ゴラァ!」
鬼の様な形相に変わり、小声で要を問い詰める
「すみませんっ!源さん、でも違うんです…ずっと連れて来たかったんですよ!前から話してたじゃないですか?…律はフラっと出て行ったと思ったら、ついでみたいにいつも髪切ってるんです…だから今回はちゃんと捕まえて走って来たんですよ」
必死に弁解する要…ちょっと泣きそうだ…
「ったく…その努力と律ちゃんという存在に免じて勘弁してやらぁ!感謝しろよテメェ…もちろん、律ちゃんにだぞっ!?」
元の顔に戻り、律に話す
「お待たせしたわね!要ちゃんから聞いてて前々から会いたかったのよ~律ちゃん!要ちゃんに初めて会った時も衝撃的だったけど…今回はそれ以上よ!フフフフッ」
笑う源の後ろで、要は手を合わせ律へ感謝を示す
…誰よりも強い美学に対する執着により生まれた彼女の二面性は常軌を逸している…
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