ソファーに並んで
美容室GENにて…

「いいっ!…ハァっ…ハァ…律ちゃん…あなた今までで最高かもしれないわ!いいわ~たまんないっ!」
とても髪を切っている者の言葉とは思えないセリフを発しながら興奮のあまり、息が荒くなる源…

“ううっ…なんか怖いよー…”

瞼を閉じたまま怯える律、恐怖と色々な意味で目を開けない…無意識に眉間へ力がはいる
「…ダメよ…ほら…リラックスして…」
何も見えない状態で耳元から囁かれ思わず律は“フニャッ!”っと変な声が出てしまう
「ごめんね、驚いちゃった?それにしても…フフフッ…律ちゃん、面白いリアクションするのね?」
律は少し恥ずかしくなり頬が赤くなってしまう…こんな反応は要にくらいしか見られた事が無い
「もう少しで完成よ…クライマックス……いくわよっ!」
更に源の息が荒くなる…怖い…
ハサミの音が止まり、洗髪…乾燥…ようやく完成?
「…律ちゃん…整髪剤…ハァ…使ってない…わよね?」
源からの最終確認
「えっと…はい…必要な時しか」
答えを聞くと宣言
「完成よ…律ちゃん」
恐怖からの開放…源は数歩後退し倒れる。完成という言葉と源が倒れた気配で目を開く律、長時間の暗闇のせいで光が眩しい…どうにか片目だけ細く視界を作り、振り返る
「…源さん…大丈夫で…うわっ!」
視界へ飛び込んできた、とんでもない光景…フルマラソンを走りきった様な汗をかき、左手の甲は額へ、右手の平は胸へ当て弾んだ息を整えている…問題なのは…汗ばんだ艶かしい肌をさらけ出し源が下着姿である事…直ぐ様、床へ脱ぎ捨てたと思われる源のシャツを拾い顔を背けて被せる…
“千尋…ごめん…”何故か脳内でそう思ってしまう律
「ハッ…出来たわ…私の宝石…ハァハァ…」
まだ鎮まらぬ興奮どころか完成の愉悦に心酔している源と、もう勘弁してくれと思う律は鏡に写った自分に驚く
「これ…僕なの?…」
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