ソファーに並んで
千尋の正面に立ち、明音は顔の前で手をかざし振ってやる。
「おーい?お姉ちゃん、大丈夫?」
ようやく千尋の意識が戻ってきた。
「ハッ!…うん…大丈夫…」
 (えーと…なんだっけ…?)

襟元までシャツのボタンをきっちりと閉じ、律は千尋へ近付くと、要が声を発する。
「頼む!千尋、律へ感想を言ってくれ!俺たちじゃあ何て言ったら正しいかわからない!」

(そう、言葉に…言葉にするのよ…それが大事)

「うん…とても似合ってるわ!律…ちょっとびっくりしちゃったけど、格好いいと思う!」

千尋が感想を伝え、要と明音は“よしっ!”と心の内で思うが…当の律はどこか不満そうな表情で告げる。
「ありがとう…でもね千尋、そんな作った言葉じゃ僕は本当には喜べないよ?」
全てを見透かした様な、そんな律の言葉に千尋は…

「…律……貴方をもっと好きになりました」

感想などではなく気持ちを…本心を言葉にした。
「うん、ありがとう。頑張って言葉にしてくれた事…それに千尋からのその言葉が、一番うれしいよ」

そんなやり取りを見ながら、うっとりとした瞳で源は呟く
「いいわ…二人まとめて…いい…すごく…」
その背後で喉をコホンと鳴らし、要は源へ囁く

「源さん…鼻血、出てますよ」

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