飛べない人
夜10:00。
私達3人は眠る頃に備えて準備をしていた。
紗綾ちゃんはベットの上で。
桃音ちゃんと私はベットの横で。
2人が眠らないよう睡眠防止グッズを床に並べる。

「……こんなので上手くいくの?」

さすがに怖くなったのか、不安げな表情で問いかける紗綾ちゃん。
確かに。
上手くいくなんて保証はないし、こんな単純な方法で助かるかなんて分からない。
……でも。

「それ以外に方法なんてないでしょ?」

桃音ちゃんはため息まじりにそう言う。
紗綾ちゃんはぬいぐるみを抱きしめる手に少しだけ力を入れて

「そう、よね。」

眉を少しだけ下げて笑った。



夜11:00。
紗綾ちゃんがうとうとし始めた。
私は紗綾ちゃんが不安にならないよう 手を握りしめる。
それに気付いた紗綾ちゃんは少しだけ微笑んで

「ありがと。」

それだけ言って眠りに落ちたのだった。
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