俺様男は私の彼氏様!?





「失礼します」





病室に入ると、ニット帽を被った男性がベットに横になっていた。



この人が俊のお父さん!





「君が椿ちゃんかい?」



「はい、初めまして。樋渡椿です。」





自己紹介、なんか変じゃなかったかな?





「そうか。俊がいつもお世話になってます」





優しそうなお父さん。



こんな優しそうなお父さんが癌だなんて……


神様も不公平すぎるよ。





「いいえ、私がいつもお世話になってて……」



「こんなどうしようもない息子だが、いい奴なんだ。
これからもよろしく頼むよ」



「こちらこそです!
俊はほんといい人ですよ!
いつも私が困ってたら助けてくれるし
何より親思いで見習わなきゃなって!

私には父親という存在がわからないけど
俊を見ているとほんとにお父さんが大事なんだなって伝わってきます」



「そうか、椿ちゃんは小さい頃に亡くなっちゃったんだっけ……変なこと聞いてごめんね」





私が勝手に話しただけなのに。




「いえ、私こそ変なこと話してしまって……
俊のためにも頑張って戦ってください!
きっと奇跡が起きますよ!!」





なんて言ったらプレッシャーになるのかな……



こういうときなんて話しかけていいのかわからなくて、ついそう言ってしまった。



なのに俊のお父さんは、優しく微笑みながら「ありがとう、頑張るよ」と言っていた。





優しく微笑んだ顔は俊の面影があり、俊はきっとお父さん似なんだと思う。



ほんとにいいお父さんだよ。





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