彼の優しさ 番外編
―side祐―
学校が終わり、今日は金曜日とも有って俺は藍の家に泊まるということで藍の住むマンションに車を走らせていた。
だが、マンションに着くと野次馬らしき人だかりとパトカー、そして警察が居た。
「何があったんだ?」思わずぽつりとこぼすとマンションのセキュリティを通過するために藍の部屋の鍵を取り出してゲートの側にあるパネルの鍵穴に差し込んだ。
藍の部屋がある階にエレベーターで向かうとそのまま部屋に向かうと、男性の声が聞こえた。
「…………え?」
藍の部屋の前に居る警察は扉を叩いている。
否定したい気持ちが大きかった。突っ立っている俺を不審に思ったのか警察官がこっちに来た。
「すみません。中央署の者ですが、お話しを伺ってもよろしいでしょうか?」
「あ、はい。」藍は―――ドコ?
「このマンションのワンフロア下で事件が発生しましてマンションの住人にお話しを伺って居るのですが、あちらの部屋にお住まいの結城さんと連絡が付かないのですが…」
「藍と連絡が付かない…?」ウソダロ?
「失礼ですが、結城さんとはどんなご関係で?」
「恋人です。」
「では、部屋の鍵とかはお持ちですか?」鍵……そう思ってスーツのポケットに手を入れてキーケースを取り出したが、手が震えてキーケースを落としてしまった。
ツルツルと滑ったキーケースは警察官の足元に行き、警察官が拾った。
「祐?どうしたの?」待ち焦がれた声がして俺は思わず安堵の余り泣きそうになった。
「藍…」藍の元に思わず走った俺は藍をおもいっきり抱き締めた。