彼の優しさ 番外編
ーside祐ー
今日は実家で飯を食っていた。
とある事を聞く為に。
「母さん、今週の土曜日、大丈夫?」
「大丈夫だけど何?」丁度、米を洗っていた。
「連れて来ようかな、と」『彼女』という単語が妙にこっぱずかしくて言えなかった。
「誰を?」
「いや、彼女…」最後は小声になっていた。
「聞こえないわよ?」
チャンネルを回していた麻美には聞こえていたらしく
「えっ?お兄ちゃん、彼女連れて来てくれるの~‼どんな子?可愛い?あっバイトのシフト誰か変わってくれないか聞いてみなきゃ。」リモコンを手放してスマホをいじり始めた。
「祐、あんた連れて来てくれるの初めてじゃない?」母さんが聞くけど
「いや、ずっと前に連れてきてるよ。母さんたちもすでにお互いに知ってる人だよ。」
「…ずっと前?で知ってる人?」考えてるけど母さんは思い付かないみたいだ。
「…お兄ちゃん、まさかなんだけど……藍ちゃん?」麻美が恐る恐る言うと
「正解だ。」
「えぇぇぇぇ‼」
「麻美、うるさい。時間を考えろ。」うるさくて小言を言っても
「だって藍ちゃんだよ?約10年ぶり?どこで会ったの⁉」