彼の優しさ 番外編

「家族だからと言って何でも話して良い訳がないだろう。成人しているのだから自分の発言には気を付けろ。お前は余計な一言が多い。」ビシッと父さん、言ったな…助かった。

「藍ちゃん、気を悪くしないでね?」母さんが言って


「いえ…わたしこそ空気を悪くしてしまってすみません。」しょんぼりしている藍。

………空気が重い。


「えっーとそろそろお昼にしましょうか。…麻美、手伝いなさい。」母さんが立ちあがりながら言うと

「あ、手伝います。」と藍に言うけど

「藍ちゃんはいいの。…麻美。」と母さんが麻美に有無を言わさない威圧で席を立たせてキッチンの方に行った。



昼食の用意が出来てテーブルに所狭しと料理が並んだ。

「ちらし寿司にから揚げ、いんげんのごま和え、すまし汁…藍の好物ばかりだな。」ぼそっと呟くと

「当たり前でしょ?藍ちゃんの歓迎会なんだから。」

………当たり前なのか?

まぁ、藍も嬉しそうな顔をしているから俺が騒ぎ立てる事も無いか。

お昼、と言うこともあり、飲み物はノンアルコールで統一されている。

……と言うかそれ、藍がいつも頼んでいる茶屋の玉露だよな?

…さっきやたら見覚えのある茶の袋がチラッと見えた。

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