彼の優しさ 番外編
昼飯を食べてゆっくり休んでから藍の住むマンションに帰ろうかとなり、藍が暇の挨拶をしてもうちょっとだけ、と駄々を捏ねる麻美と父さんがいろいろ喋っている時に母さんが俺に聞いてきた。
「藍ちゃんには聞けなかったけど祐は藍ちゃんの事、どうするの?」ぶっこんでくるな………。
「……敵わないな。一緒になりたい。そう思ってる。」藍さえ良ければ、だけど。
「そう。祐が家に連れてきた、という時点で分かっていたけどね。」
「けど随分ゆっくりね?」
「藍の従姉の時宮社長から害虫が藍に近づいていると言う面白くない話しを聞いて、今いろいろ計画中。……一般的な女性の目線で答えて欲しいけどやっぱり指輪が良い?」この質問をしたのは理由があって、藍は調理師になるのにいちいち外さないとダメなのは、と考えて。(衛生面での問題。)
「そうねぇ……やっぱり指輪はすぐに分かる物でしょうけど、祐は別の物を考えてるの?」流石、母。だな。そこまでもお見通しだとは。
「あぁ。腕時計も候補に入っている。」以前、ペアウォッチのCMで藍の目が釘付けだったからな…。別に好きな俳優とかじゃなかったし。
「私に聞かなくても良かったんじゃない?……もう、決まってるんでしょ?」
「……言って考えを纏めたかったんだ。ありがとう。決心したよ。」藍たちの方に歩いていき
「こら。麻美いい加減にしろ。……また連れて来るから。」無理やり引き剥がしてから
「じゃ、送ってくる。」と三人に言ってから藍も
「今日はありがとうございました。ご飯も美味しかったですし、久しぶりに話せて楽しかったです。」そう言ってから外に出て車に乗り込むと手を振る麻美と見送っている両親に手を振り返してる藍を乗せて藍のマンションに送った。