誠の誓い
「縁さんって、泣き虫さんですね!」


かなり、長く泣いていた

ようやく泣きやむと、詩乃にからかわれる



「…ぐずっ 悪ぃかよ!」


「うふふっ縁さんって、本当は凄く
口が悪いでしょ!?
幹部さんと私とで、口調が違うもの」


「…ごめん」


「いえいえ!嬉しいんです!
だって、素でいてくれるから!
猫被らなくていいですよ!!」


「チッ 詩乃のクセに!」


「ふふっ」


「由縁の事だけどさ
俺、永倉さんに負けた気がする
勝ち負けじゃないけど……
俺の代わりに怒ってくれて
仇を討ってくれて、泣いてくれた
俺は、何も出来なかった…
薄情な兄貴だよな…
たった1人の家族を殺した奴が
目の前にいても、憎くなかったんだ」


「縁さんが人を憎むとか、考えられない
人が好きって、滲み出てるもの
私を2度も助けてくれた
薄情な人は、そんな事しないもの!
由縁さんのお兄さんは、とても素敵です」



「ふっ 

(私が由縁だって知れば
詩乃は、傷つくだろうな…)

お前に誉められても、嬉しくねぇ」



「まぁ!本当に、口が悪いわね!」




グイッ



ちゅっ






「は?」


「口悪いのが、治るおまじないです!」



真っ赤な詩乃が俯く



(……女同士だ!コノヤロ-!!)



顔を引き攣らせる



「恋仲ですからね!」



「フリだって、言ってんだろーが!!!」


「ええーー!!
本当に恋仲になりましょうよぉーー!!」


「やだ!お前、馬鹿そう!!」


「あら!私は、泣き虫じゃないですよ!」


「はぁ!?お前だって、泣いてたろ!!」


「私は、女だもの!」


「可愛くねぇ」


「可愛くなくても、縁さんの恋仲です!」


「面倒くせぇ」


「ふふふっ」





そんな、縁と詩乃のやり取りを


幹部らが見ていたことは、2人とも


気がつかなかった














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