彼氏の好きなヒトになる方法



ごめん。せっかくわざわざバイト前に放課後デートしてくれたのに、最後の最後に台無しにしてごめん。



でも、なんか思い出しちゃったんだよ。



ひとりの帰り道、泣きそうだった。


瀬戸先輩と彼女の後ろ姿を見てしまった、あの日に似た気持ちだった。


自分が嫌んなる、ほんと。



なにが『落ちそう』だ。『本気で好きになりそう』だ。



私にはそんな資格ないじゃん。


初めから、俊くんの顔につられて会ったくせに。カッコいいカッコいいって、そればっかりで。


『付き合ってください』って言われた時も、『なんでこんなイケメンが』って考えてパニックになって、挙句流されてオーケーして。



私だって、同じだ。




『でも、みんな見てんのは顔だけだよ』




あの言葉を真っ向から否定して、『そんなことないよ』なんて言える立場じゃないんだよ、私は。





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