彼氏の好きなヒトになる方法
俊くん、今日はバイト入ってたりするのかな。
入ってなかったら、行ってみたいな。屋台の食べ物って、なんでか美味しいんだよね。
そんなことを考えていたら、早く彼と話がしたくてたまらなくなった。
騒々しい駅前を歩いて、彼がいる方へ歩く。まだ俊くんは私に気づいてない。
あ、イヤホンしてる。じゃあ、ちゃんと目の前で声かけないと聞こえないな。
……よし。
明るい声で。
元気な笑顔で。
『こんにちは』って。
「あ、俊じゃん!」
私が今まさに、彼の前へと駆け寄ろうとしたときだった。
ぞろぞろと5人くらいの集団が、俊くんを囲んだ。
この前は女子高生だったけど、今度は男子高校生の群れ。し、しかも俊くんと同じ制服を着てる!青柳だ!!
俊くんのお友達!!
うわああ、と一気に焦って、やっぱり近くの柱に隠れた。何やってんだ。