彼氏の好きなヒトになる方法
「サトシが言ってたんだよ。俊が他校に彼女作ったって」
「あー!俺も聞いたわ。一緒に聞いてた女子たち、絶望してた」
「えー、マジなん?俊」
「あー……うん、まあ」
俊くんの声は小さくて、騒がしい駅前だとこの距離でも聞き取りづらい。
俊くんのお友達っていったらサトシくんのイメージだったけど、この場に彼はいないみたいだ。
ていうか、なんか恥ずかしいな。これ以上話が進む前に、私、登場すべき?
どうしようかなと、もはや見てもいない携帯のSNSの画面をスクロールしながら、迷い始めた。
「ああ、そういえばお前、言ってたもんなあ。告白してくる女子がめんどくさいって」
……え?
無意味に画面をスクロールしていた指が止まった。
告白してくる女子が、『めんどくさい』?