彼氏の好きなヒトになる方法
「あー、確かに色々あったもんなあ。ロクに話したことないのに顔目当てで告ってきて、フったら泣かれて毎回一悶着あるんだろ?めんどくせえよ、そりゃ」
「ハハ。俊は毎回フるとき冷たいんだって!もっと優しくすりゃいいんだよ。『気持ちは嬉しいよ、ありがとう』とかさー」
「王子キャラかよ!こいつには無理だろ〜」
アハハハ、と彼らのところから笑いが起こる。
私は彼らの会話を聞きながら、なんだか聞いてはいけないものを聞いているような気持ちになった。
『でも、みんな見てんのは顔だけだよ』
ロクに話したこともないのに告白されて、フったら泣かれて、トラブルが起こって。
そういうのを繰り返してきたのかな。
だから俊くんはあのとき、あんなことを言ったのかな。
「えー、じゃあさあ、俊、あんなに女子のことめんどくさがってたのに、なんでわざわざ他校に彼女作ったわけ?」
男子のひとりの質問に、思わず携帯画面から顔を上げる。
ここからじゃ、お友達の背中が見えるだけで、俊くんの顔は見えない。
私は、知らず携帯を握りしめていた。