彼氏の好きなヒトになる方法
「………ご、めん」
私の震えた声に、何かを言いかけていた俊くんが黙った。
拾った携帯を握りしめて、「今日は、帰る」とだけ言った。そのまま振り返って、背を向ける。
「……佳菜!」
振り返らずに、そのまま走って逃げた。
息が切れて、足が疲れてきた頃、走るのをやめた。
なんとなくうしろを振り返るけど、そこに知ってる人の姿はない。
「……………………」
呼吸を整えていると、頭の中がぼうっとしてくる。冷め始めた心で、さっきの言葉を思い出した。
『手っ取り早い女避け』
……なんだ。
利用してたのは、私だけじゃなかったんだ。