彼氏の好きなヒトになる方法

+ それって、私が好きってことじゃないの




「……珍しいわね、髪上げてないの」



次の日の金曜日、登校してきた私を見て、マナミが言った。



いつもは高い位置でポニーテールにしてるけど、今日は何もしないで来た。


メイクもベースだけで、あとはサボった。アイメイクしてないと、ギャルの面影もない。



「……ん……なんかちょっと、めんどくさかったから」



胸の辺りまである髪の毛先を、指に絡める。


コテもヘアアイロンも使ってないから、無造作にくせのついた髪はすごく中途半端だ。


「ふーん……まあ、いいんじゃない。たまには」

「……うん」


短く返事をして、自分の席に着く。



なんだか、昨日からぜんぶ気だるい。



毎朝高い位置で髪を結ぶと、『今日も頑張るぞ』って気持ちになれるんだけど。



今日はどうせ、俊くんと会わないし。


もう、いいかって。今日くらいサボってもいいかって。


……思っちゃった。




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