彼氏の好きなヒトになる方法


ふたりとも「おはよー」「おはよう」と挨拶をしながら私たちを見回し、そして私のところで二度見した。


「えっ誰?」

「もう飽きたわそのリアクション」

「もしかして佳菜か?全然違うな……」

「学まで……ちょっと信じてたのに……」


みんなして私の顔を酷評してくるので、悲しくなってきた。ちくしょう、メイクだけでもしてきてやる!


「もういい!いつもの私になってくる!よいな皆の者、大人しく待っておれ!!」

「なんで最後殿様入ったの」


晃がボソッとツッコミを入れてくれたので、私は鞄からメイクポーチを取り出し、颯爽とトイレへ向かったのだった。







結果として。


メイクをして、いつもの顔を鏡で見ると、なんだか少し気持ちが明るくなった。


やっぱりメイクの魔法はスゴい。女の子を元気にしてくれる。



「実際、そんな変わってないわよ。あんた、いつものメイクが濃いってわけじゃないし」


教室に戻って、気持ちも顔も落ち着いた私を見て、マナミがそう言った。




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