彼氏の好きなヒトになる方法
ふたりとも「おはよー」「おはよう」と挨拶をしながら私たちを見回し、そして私のところで二度見した。
「えっ誰?」
「もう飽きたわそのリアクション」
「もしかして佳菜か?全然違うな……」
「学まで……ちょっと信じてたのに……」
みんなして私の顔を酷評してくるので、悲しくなってきた。ちくしょう、メイクだけでもしてきてやる!
「もういい!いつもの私になってくる!よいな皆の者、大人しく待っておれ!!」
「なんで最後殿様入ったの」
晃がボソッとツッコミを入れてくれたので、私は鞄からメイクポーチを取り出し、颯爽とトイレへ向かったのだった。
*
結果として。
メイクをして、いつもの顔を鏡で見ると、なんだか少し気持ちが明るくなった。
やっぱりメイクの魔法はスゴい。女の子を元気にしてくれる。
「実際、そんな変わってないわよ。あんた、いつものメイクが濃いってわけじゃないし」
教室に戻って、気持ちも顔も落ち着いた私を見て、マナミがそう言った。