彼氏の好きなヒトになる方法


「………………」


それから5秒ほど黙って、今気づいたという顔で「たぶん、そう」と言った。たぶんかい!


その返事が俊くんらしくって、私はついにお腹を抱えて笑ってしまった。


目尻から溜まった涙が零れおちる。俊くんは空気をぶち壊す勢いで笑い始めた私を見て、いつかに見たのと同じようにポカンとした。


「あはははは!たぶんって!なにそれ!」

「……ごめん。なんかよくわかんなくて」

「俊くん、今まで誰かを好きになったことないの?」

「ない」

「あはは、即答だし!そっかあ。じゃあ初恋だね。やったぁ、嬉しいなあ」


嬉しくてたまらない。

嬉しくて嬉しくて、馬鹿みたいに笑顔になっちゃうのに、涙がどんどんあふれた。



ああ、なんだか私たち、可愛いなあ。



不器用な自分たちの恋が、目の前の男の子が、すっごく愛おしいよ。


ひとしきり笑った後、目尻の涙を拭いながら、彼を見上げた。




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