彼氏の好きなヒトになる方法
「つーか君、佳菜ちゃんだよね?」
えっ? うっそ。
「あ、ハイ……そうですけど」
なんで私のこと知ってるんだ。話したことなんかないのに!
戸惑っていると、瀬戸先輩のグループでたぶんいちばん人懐っこいキャラの先輩が、「やっぱり〜!」と明るく話しかけてきた。
「佳菜ちゃんの髪色目立つからさあ、いい色だなーと思って覚えてたんだよね」
「えっ、マジですか?この色、自分でも気に入ってるんですよ〜!」
「いやマジめっちゃイイよ。どこの美容院行ったん?」
「えっと、駅の西口出たすぐのとこなんですけど……」
と、言ったところでハッとした。なに普通に盛り上がってんだ。
いや髪色褒めてもらえたのは嬉しいけど。ちょっとオレンジっぽい茶髪で、すごくキレイに色が出たから気に入ってるんだよね。
……じゃなくて!
まさか先輩の友達に存在を認識されているとは思わなかった。
もしや瀬戸先輩も私のこと知ってたり、する……?