彼氏の好きなヒトになる方法
俊くんは私の問いに驚いた顔をしたあと、少しの間、黙った。
顔は相変わらず赤いけど、いつものようにちゃんと考えて話そうとしてくれている。
俊くんのそういうとこ好きだけど、たまには思ったままの言葉も聞きたいな。
「……自分でもびっくりするくらい、嫌だって思った。一兄と佳菜がキスしそうになってるのを見たとき、すごい焦って、腹立った」
俊くんがゆっくりと言葉を紡いでいく。
『腹立った』って言われてこんなにキュンとしたの初めてだよ。また涙出そう。
「………そっかあ」
俊くんの今までの彼女たちは、私と同じように悩んできたんだろう。
そしてその子達は、結局別れを選んだ。
俊くんの気持ちが、彼女たちに向いていなかったから。
……でも、今の俊くんは違うんだ。
『佳菜ちゃんが俊を変えてくれるんじゃないかなって思ってる』
俊くんは、変わってきてる。
少しずつ。私の存在が、彼を変えていってるんだ。