彼氏の好きなヒトになる方法
店頭の棚の前に立ち止まっていると、後ろから声が聞こえた。
「なにお前、その歳でおもちゃ欲しいの」
「隼」
気怠そうに私の後ろに立っているのは、隼だ。
「いや、見てよ……これ」
「あ?」
「英語の一橋に似てない?」
私が指差したのは、棚の一番上に置かれている大きなオッサンのフィギュアだ。
やけに頭でっかちなオッサンはニカッと笑っていて、色黒な肌に白い歯がよく際立っていた。
これが一見体育教師のようなさわやかマッチョの英語教師、一橋先生にそっくりなのだ。
隼は眉根を寄せて、そのフィギュアを目に向けると瞬間フッと吹き出した。
そのまま肩を震わせて静かに笑う。どうやらツボに入ったようだ。