彼氏の好きなヒトになる方法


隼はムッとした顔をしていたけど、リレーの最初の練習が始まる頃には、私を『佳菜』と呼ぶようになっていた。


『オイ佳菜、お前リズムが雑なんだよ。かけ声に合わせて足動かせ』

『ごめんって!てかアンタも一歩がデカいんだよ。そのせいでリズム崩れんの。女子がペアなんだからちょっとは考えてよ』


で、私たちは初っ端からケンカばかりしていた。


一往復終わってバトンを渡す度にあーだこーだと言い合って、『なんでコイツとペアなんだ』という不満を残して練習を終えていた。


息が合っていないので、当然足並みも揃わない。クラス一の問題ペアだった。


大会の前日になっても私たちの仲は最悪だったので、見兼ねた担任が『居残ってしっかり走れるようにしろ』と命じてきた。


めちゃくちゃ嫌だったけど、クラスの足を引っ張るのも嫌だったから、しぶしぶ居残ることにした。




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