彼氏の好きなヒトになる方法
2人で立ち上がって、肩を組む。
『いくぞ。よーい……』
ドン、という隼のかけ声とともに走り出した。
一定のリズムを刻む隼のかけ声に集中して足を動かす。足幅は隼が合わせてくれるはずだ。
一応、こいつの運動神経は評価してるんだ。私が多少ミスしても合わせてくれるだろう。
他のことは特に何も考えなかった。
気づいたらゴールしていて、隼が握っていたストップウォッチを見たら、今まででいちばんいいタイムが表示されていた。
『…………………』
ふたりで顔を見合わせる。
今までは顔を合わせる度に文句を言っていたのに、そのときは言葉が出てこなかった。
『……ふ、ふふ、あはははは!』
やがて沈黙を破ったのは、私の笑い声だった。