彼氏の好きなヒトになる方法


「一兄」

「瀬戸先輩!?」

「よぉー、なに神妙な顔して見つめ合ってんの?」


私たちの顔を交互に見ては、ニヤニヤするイケメンの先輩。


先輩と話すのは、この前の公園以来だ。


あのとき割と衝撃的な別れ方をしたので、ちょっと今どういう顔をしてこの人と話せばいいのかわからない。


「ええと……」

「一兄、今度は何?一人で何してんの?」


俊くんはこの前のことを相当根に持っているのか、珍しく苛立った様子で自分のいとこを見ている。


あれ、というか先輩、ひとりなのか。珍しい。いつもは周りに友達がいるのに。


先輩は「俺にも一人で街をうろつきたいときくらいあるよ」と言うと、立ち上がった私と俊くんの肩にぽんと手を置いた。


「ねえ、ふたり暇?暇でしょ?奢ってあげるからさぁ、先輩とお茶しよ?」

「……えっと」

「嫌だ」


戸惑う私の横で、さすがの俊くんは即答で断った。『嫌だ』の語気が強い。




< 254 / 441 >

この作品をシェア

pagetop