彼氏の好きなヒトになる方法
「一兄」
「瀬戸先輩!?」
「よぉー、なに神妙な顔して見つめ合ってんの?」
私たちの顔を交互に見ては、ニヤニヤするイケメンの先輩。
先輩と話すのは、この前の公園以来だ。
あのとき割と衝撃的な別れ方をしたので、ちょっと今どういう顔をしてこの人と話せばいいのかわからない。
「ええと……」
「一兄、今度は何?一人で何してんの?」
俊くんはこの前のことを相当根に持っているのか、珍しく苛立った様子で自分のいとこを見ている。
あれ、というか先輩、ひとりなのか。珍しい。いつもは周りに友達がいるのに。
先輩は「俺にも一人で街をうろつきたいときくらいあるよ」と言うと、立ち上がった私と俊くんの肩にぽんと手を置いた。
「ねえ、ふたり暇?暇でしょ?奢ってあげるからさぁ、先輩とお茶しよ?」
「……えっと」
「嫌だ」
戸惑う私の横で、さすがの俊くんは即答で断った。『嫌だ』の語気が強い。