彼氏の好きなヒトになる方法
「冷てえなあ俊。ね、佳菜ちゃんは?どう?新作のアイスラテ飲みたくない?パンケーキ注文してもいいよ」
「えっ、ホントですか!?」
「……佳菜?」
新作ラテとパンケーキに食いついた私を、俊くんが眉根を寄せて見てくる。
「ホントホント。ちょうど用事終わって、今暇なんだよ。佳菜ちゃんがパンケーキ食べ終わるまででいいから、付き合ってくんない?」
「パンケーキ……」
食べたい。パンケーキ食べたい。人の金で食うパンケーキはさぞかし美味いだろう。
パンケーキに心奪われた私を見て、俊くんがさらに眉間のシワを深くした。
「……人の彼女、食べ物で買収すんのやめてくんない」
「はは。どーせお前のことだから、オシャレなカフェに連れて行ってあげようとか考えたこともないだろ?」
「……………」
だいたい行くのはファストフードな私たち。図星をつかれたように俊くんは押し黙った。
その様子で勝利を確信したのか、先輩は爽やかな笑顔で「じゃあ行こっか」と私の背中を押した。
*
見事食い物に買収された私は、カフェに行って滅多に普段食べられないパンケーキをニコニコしながら頬張っていた。