彼氏の好きなヒトになる方法
+ 好きなヒトになること
「……え?」
私は隼の言葉の意味を考えていた。
そしてようやく理解しようという頃には、私と彼の顔は至近距離にあり、唇があと数センチで触れそうだった。
「…………って、オイ!!」
とっさに顔を押しのける。信じられない気持ちで見上げたら、隼は呆れた顔で私を見ていた。
「『オイ』ってお前さあ……。芸人のツッコミじゃないんだから。色気ねえなあ」
「いやいやいやいや。お前さあはこっちのセリフだよ!何言ってんだよ。そんで人が固まってるときに何しようとしてんだよ!」
「いや今どう見てもキスする流れだったじゃん」
「知らないよ流れとか!したことないもん!!」
芸人ばりにツッコみながら、自分が言わなくていいことを口走ってしまったことに気づき、顔が熱くなった。
それに合わせ、隼がニヤニヤし始める。「へえ〜、まだしてないんだ」とかほざきやがった。