彼氏の好きなヒトになる方法
「……泣いてんの……?」
隼は私の目の前に立つと、そっと私の顎に手を添えて、顔を上げさせた。
目が合った瞬間の私の顔は、きっとすごく情けなかっただろう。
私は私の表情を見るなり目を見開いて、それから見たことないほど柔らかな顔をして笑った。
「何泣いてんだよ。らしくねー」
「……うるさい。なんか知らないけど、涙出てきたんだよ」
ふんと顔を背けて強がった。
それでも優しい目をして私を見つめる隼を見ていたら、本当は声を上げて泣いてしまいたかった。
……隼といるときの私と、俊くんといるときの私は全然違う。
だって、こんなにも切ない気持ちになること、ない。
隼は大事な友達で……本当に大事な友達で。
こいつはなんだかんだいつも私に優しくって、気にかけてくれていた。
その気持ちに応えられないことの苦しさとか、どうやったって目の前の友達を自分が傷つけてしまうことのやるせなさとか。
こんなにもあたたかくて、優しくて……切なくて苦しい気持ちになったこと、ないよ。