彼氏の好きなヒトになる方法



「……こんなのすぐ、引っ込むし……」



こぼれそうになる涙を、指で拭う。


そんな私を見つめる隼の顔は、相変わらず穏やかで。




「……お前のその顔が見れただけで、俺はもうじゅーぶんだよ」




そんなことを言って、隼は私の頭をぽんぽんと撫でた。


「帰ろ」と言って、私の前を歩き出す。


「……隼」

「ん?」

「ありがと……」

「おー」


隼は振り返って明るく笑って見せた。


自分が誰かの好きな人になるって、すごいことなんだなあ。



くれる想いがあまりに優しくて、とうとくて、私にはもったいないよ。



隼の背中を見ながら、私は自分の好きな人のことを思い出した。


……ああ、私もちゃんと言わなきゃ。







家に帰って、自分の部屋に入ると、そのまますぐに携帯を取り出して電話をかけた。


耳元で、繰り返しコール音が流れる。



……今日、バイトかな。出てくれるかな……。


諦めかけたその時、プッとコール音が止んだ。



『……はい』



出た!


一気に鼓動が速くなってくる。緊張して、頭が真っ白になりそうだ。




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