彼氏の好きなヒトになる方法


『……明日。バイト前に行ってもいい?』

「バ、バイトあるんだったら明日じゃなくても……うちの高校来たら遠回りになっちゃうし」

『俺が早く佳菜に会いたいんだよ』


……い、いつからこんな口説き文句を使いこなすようになってしまわれたの?


見事に動揺させられて、「そ、そうなのですか……」と間抜けな返事しか出来なかった。彼氏への愛がとどまるところを知らない。


俊くんは優しい声で『じゃあ、また明日』と言った。



「う……うん。また明日……」


ドキドキしながら電話を切った。


わ、私の彼氏はどこかの王子様とかでしたっけ?


明日、会うのが怖いような楽しみなような……。


ぼすん、とベッドに寝転がって、目を閉じた。


今日一日、色々ありすぎた……。


私はすっかり疲れ切っていて、その日はそのまま寝てしまった。







次の日。


隼は本当にいつも通りに「おはよ」と声をかけてくれた。




< 311 / 441 >

この作品をシェア

pagetop