彼氏の好きなヒトになる方法


私もいつも通りに「おはよう」と返すことができたから、ホッとした。


気まずくなったりしないかなってちょっと不安だったんだ。



「いい感じのところに落ち着いたみたいね」



私たちの様子を見ていたマナミは、安心したように息をついた。


「……うん。心配かけてごめんね」

「気にしないで。あたしが勝手に気づいて勝手に気を揉んでただけだから。それに、あんたたち見てると面白かったしね」


面白がってたんかい。


さすがマナミ様、と苦笑していると、登校してきた璃子が「なになに、何の話ー?」と言って会話に入ってきた。


「んー……マナミと璃子、ありがとって話?」


そう言うと、璃子はぽかんとした顔で私を見つめ返した。


「えっ……なんでなんで?ウチ、佳菜になにかした?」

「色々心配かけたのに、何も話せなくて悪かったなあと思ってさ。俊くんとはなんとかなりそうだよ」


俊くんがうちの学校に来たあの時、何があったのか話したのは結局隼だけだ。


みんなきっと気にかけてくれていたのだろうけど、私が話そうとしないからあえていつも通りに振舞ってくれていた。


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