彼氏の好きなヒトになる方法
急いで彼のもとへ駆ける。
息を切らしながら校門の方へと近づいていくと、校門を通る女子生徒の視線が、彼に集まっているのが見えた。
けれどそんな視線を一切無視した様子で、彼は校門前に立っていた。
「俊くん!」
名前を呼ぶ前に彼が消えていった、この前の記憶が頭をよぎって、私は大声で名前を呼んだ。
俊くんは下に向けていた顔を上げて、私を見た。そして、そこから動かない。
ただ、ホッとした様子で表情を和らげただけで。
「おっ、おまたせ……」
はあはあと息を上げて立ち止まった私に、俊くんは穏やかな表情で「走ってこなくてもよかったのに」と言った。
「は、早く会いたかったから……」
何も考えずに口から出た言葉に、ハッとした。
かあ、と顔が熱くなって、彼を見ると、驚いた顔をしていた。