彼氏の好きなヒトになる方法
「…………」
俊くんは冷たい目で隼を見ている。いつものクールな表情に加えて絶対零度の瞳……怖い。
隼はそんな目を向けられてもなお、口を止めない。
「てか、佳菜が色々軽い女だってわかってんなら、ちゃんと捕まえとかなきゃダメじゃん?なあ佳菜」
「……なあじゃないし。語弊ありすぎなんだけど」
『軽い女』ってなんだよ。わざとひどい言い方してるんだろうことはわかるけど、ちょっと傷つくわ。フットワークが軽いって言ってくれ。
俊くんは相変わらず何も返さない。
それにムカついたのか、隼はさらに続けた。
「……こいつ面食いだから、あんた以上の顔が出てきたらすぐフラフラすんぞ」
これにはさすがの私もキレた。
「お前、さっきから聞いてりゃ人の悪口ばっかだな!はよ教室戻れや!」
隼の背中を無理やり校舎の方へ押す。
隼は「はいはいすみませんね」と全く反省の気持ちが見られない態度で校舎の方へ歩いていく。
ようやく話が出来る、と思ったその時、また隼が「あ、そーいや」と言って振り返った。