彼氏の好きなヒトになる方法


私が呆然としている間にも、俊くんは話を続ける。



「佳菜、次の日曜空いてる?」

「空いてる……」

「よかった。水族館は好き?」

「超好き………」

「じゃあちょっと遠出して水族館行こう。駅前からバスが出るから」



すでに調べていたのか、何時のバスに乗って何時に着くだとか、駅前に何時に集合だとか、どんどん話を進めていく。


こんなに率先して予定を決めてくれる彼は初めてで、驚きでメモも取れなかった。



「……っていう感じで行きたいんだけど、いい?」



携帯のメモを見ながら淡々と話をしていた俊くんは、そこでパッと顔を上げて私を見た。



「……え、あ、うん……それで……お願いします……」



よくわからないけど私の大好きな彼氏がデートしてくれるらしいので、もちろん二つ返事でオッケーだ。


俊くんは私の様子を見ると、一瞬だけフッと優しく笑った。


その笑みにドギマギしている私の頭をぽんと撫でて、「ごめん、詳しい時間とかはまたあとで送る」と言ってくれた。





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