彼氏の好きなヒトになる方法
「昨日、電話してくれてありがと。さっさと俺から連絡すべきだったのに、ごめん。あのときひどいこと言ったのに、今日会ってくれて嬉しい」
その表情はいつも通りに見えたけれど、目もとは柔らかく弧を描いていた。
やさしい顔と、やさしい声。
好きなひとのそんなものをドアップで見せられ、聞かされ、さらには頭まで撫でられて、私の脳は完全に動きを止めてしまった。ついでに心臓まで止まりそう。
おしゃべりマシーンの私が言葉をなくして、ただ目の前のイケメン彼氏を見つめるだけの機械と化していたら、そのイケメン彼氏は少し申し訳なさそうに言った。
「ごめん、今週は放課後ぜんぶバイト入ってて、会えそうにない。けど、メッセージくれたらいつでも返信するから。電話でもいーよ」
寝る前に電話する?とか、イケメン彼氏はすごいことを言ってきた。
ね、ねるまえにでんわ?そんなことしちゃっていいんですか?
いや、毎日送ってる『おやすみ』ってメッセージだけじゃ、ちょっと寂しいなあとは思ってたけど。
唐突にすごい勢いでステップアップするこの感じ、なんか懐かしさすら感じてきた。