彼氏の好きなヒトになる方法



「す、する……ねるまえにでんわ、する……」

「わかった。じゃあ、たぶん22時くらい……眠かったら寝てていいから」

「うん………」



どうやら本当に寝る前に電話してくれるらしい。


こんな……こんなご褒美があっていいのだろうか。逆に眠れなくなりそう。



「じゃあ、バイト行ってくる。また夜ね」



俊くんは腕時計を確認すると、そう言って足早に来た道を戻っていった。


「うん……来てくれてありがとう、バイト頑張って……」


ひらひら手を振って彼を見送ってからも、その場からなかなか動けなかった。


えっと……与えられた情報量が多すぎて整理が追いつかないんだけど。



とりあえず……日曜日、俊くんと水族館らしい。



うん、今はそれしかわからないです。







夜、なんとなくそわそわしながらお風呂を出て部屋でごろごろしていたら、23時ごろケータイが震えた。



ーー俊くんから電話だ!



「はっ、はい!もしもしっ」


勢い良くケータイを手に取って電話に出る。聞こえてきた声は、数時間前と同じ、穏やかだった。




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