彼氏の好きなヒトになる方法

「えーと……うん。告られた時に、そのまま……。とっさに逃げたけど」

『……ふーん』


めっちゃ低い声で『ふーん』て言われた。これについては完全に私が悪いので何も言い返せない。


『佳菜、一兄にもキスされそうになってたじゃん。油断しすぎだよ』

「ああ、そういえばそんなこともあったね……」


先輩も本気でする気はなかったと思うけど。


おかしいな。本命の彼氏とは未遂すらまだなのに、なんで他の男とはこんなことに……。


自分のダメ彼女ぶりにほとほと呆れていると、俊くんは拗ねた様子で『もう勘弁してね』と言った。


「はぁーい……」


そうだよなあ。


普段、隼たちと話す分には気を遣う必要はないけど、俊くんに余計な心配や不安はさせないようにするのは当然のことだ。