彼氏の好きなヒトになる方法


その後もペンギンさんたちはぺたぺた歩きパタパタ泳ぎ、もぐもぐ食べてマイペースにショーに参加していた。


これはこれで面白い。ていうか飼育員さんのトーク力がすごい。


「ここにいるペンギンたちはフンボルトペンギンといってー……」


飼育員さんはトークの合間にペンギンの生態についても説明してくれる。


こうやって楽しみながら海の生き物について知れるって素敵だなあ。



「水族館とか動物園とかってすごいよねえ。普通に日本で生きてたら絶対会えない生き物にこーやって会えて、こんなに楽しませてもらえるんだもん」



ショーを観ながら話すと、俊くんも穏やかな表情で「そうだね」と言った。



「ペンギンとか、そもそも生息してる場所が遠いしね。こうやって同じ空間にいれるのは、本当は凄いことなのかもしれないね」




私は俊くんを見た。彼は不思議そうに「ん?」とこちらを見てくる。



「……んーん。なんでもなーい」



私はふふふと笑った。俊くんは訝しげに「え、なに?」と言ってくるけど、笑って流した。






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