彼氏の好きなヒトになる方法
+ 彼氏の好きなヒト
ペンギンショーは終始和やかなお笑いムードで幕を閉じた。
その後、私たちは水族館の屋外に設置されているフードコートで昼食をとることにした。
お昼の時間だからか人が多い。席、空いてるかなー。
「わあ、このパン超可愛い!」
何を食べようかとフードコートをうろついていると、パン屋さんのショーケースにカメの形をしたパンとカニの形をしたパンを見つけて、思わず足を止めてしまった。
「カメのメロンパンとカニのクリームパン……ちょおかわいいじゃん」
私、この水族館に来てから『可愛い』しか言ってない気がする。JKのボギャブラリー貧困問題は割と深刻だ。
「いいね。ただ、これだけだと足りないでしょ。どうする?」
「んー。確か、あっちにホットドッグ売ってたよね?あれとこれ食べたい!あと飲み物も」
「わかった。俺が買ってくるから、佳菜、席取っておいてくれる?」
「えっ、でも……」
2人分だと結構量多くなっちゃうし、持ってくるの大変だよ。
そう言おうとしたら、先手を打たれた。
「大丈夫だよ。それに歩きっぱなしで疲れただろうし、座っときな。飲み物、何がいい?」
……し、紳士だ……。
しかもちょっと微笑みながら言われた。俊くん、どんどん表情柔らかくなりますね。パン屋のお姉さんまで見惚れてるよ。