彼氏の好きなヒトになる方法
つい1時間前まで驚くほど格好良かった彼氏が驚くほど格好悪くて、私は肩を震わせて笑った。このひと、ほんとに面白い。
俊くんがふてくされた顔で振り返る。
「………さすがに嫌になったでしょ。こんな男」
「ふふふふふ……え?なに言ってんの、嫌になるわけないじゃん。こんなに面白い彼氏、そういないよ」
「……馬鹿にしてる」
「してないよ。ふ、あはははは!そっかあ、俊くん、私のこと楽しませようとして頑張ってくれてたんだね。そっか、そっかあ」
私、ちょっと忘れてたよ。
このひとが、実はただの不器用な男子高校生だってこと。
神様でも、完璧王子でもない。
私と一緒でまともに恋愛経験なくて、いつも手探りで。
私が怒ったら焦るし、泣いたら慌てるし、遠ざかったら不安になる。
ネガティブで女の子と話すのが苦手で、どっちかというと鈍感でヘタレで。
でも大切なひとにはすっごく真摯で優しくて、傷つけないために色んなこと考えてる。
ちゃんとじっくり考えてから発言する人だ。
きっと今日のデートの前半とか、会話の内容を頭の中で何度もシミュレーションしたんだろうなあ。