彼氏の好きなヒトになる方法
+ 彼の想いとやさしいキス
「もーっ!やっと言ってくれたね」
再び手を繋いで、館内を歩きはじめた。
わざとちょっと怒った顔をしてそう言うと、俊くんは苦笑いで「ごめん」と言った。
「早く言った方がいいのはわかってたし、一兄からも佳菜が不安がってるって聞いてたけど……なんか、わかんなかったんだよね。『好き』って言うの」
彼は少し寂しそうな顔で話した。
さっきまでのネガティブモードから元に戻った俊くんは、色々ぶっちゃけて吹っ切れたのか、サッパリした顔をしている。
私はといえば待ち望んだ言葉をようやくもらえたので、怒りとか負の感情はすべてどこかへ消えた。恋する乙女は切り替えが早いことに定評があるのだ。
「……わかんなかったって……私と付き合ってからも?」
「うん。俺、最初確か『たぶん』って言ったんだよね。佳菜のこと好きかどうか」
「……うん」
私はそれがずっと不安だった。
私が『そうでしょ?』って聞いたから、俊くんは『たぶん』って答えてくれた。
なんか、私が言わせたみたいだって。