彼氏の好きなヒトになる方法
私たちは学校が違うから、その分会える時間が少ない。
だから一回一回の放課後デートがすごく大事で、貴重で、限られた時間にいっぱい想い出を詰め込まなきゃって。
その時間に、場所に、彼の記憶に、私が残るように。
「……ごめん。なんかまた泣かせてる」
ず、と鼻をすすると、俊くんがハンカチを差し出してきた。
それをありがたく受け取って、メイクが落ちない程度に溢れた涙を拭き取る。
私はふるふると首を横に振った。
「私、俊くんがしっかり考えて話してくれるとこ、好き。でも、たまにはなんにも考えずに出てきた言葉も聞きたい」
「……俺、ちゃんと考えて喋らないと何言い出すかわかんないよ。喋るの下手だし。思考すぐ暗い方行くし……口調も乱暴になるし」
うん。ちょっと気づいてたよ。
この人は感情に任せて言葉を紡いでいくと、どんどんネガティブな方向に行ってしまう。余裕がないときは荒々しい口調になったりするよね。