彼氏の好きなヒトになる方法
「でもそれも間違いなく俊くんの言葉じゃん。暗くなったら私が明るくするし、乱暴な言葉を使ったら怒ってあげるよ」
そう言って涙目で見上げると、俊くんは驚いた顔をしていた。
そして困ったような顔をして目を細めると、「俺は佳菜が眩しくて仕方ないよ」と言った。
「眩しくて絶対敵わないって思う。でも佳菜がいるところはいつも明るいから、それを知ったらもう暗いとこになんか戻れないんだよ」
……俊くんはときどき、難しい表現を使う。感覚的っていうか詩的っていうか。
わかるようでわからなくて首を傾げると、彼は小さく笑って私の頭を撫でた。
「佳菜はすごいってことだよ。で、次はどこ行く?」
「……んー。俊くん、パンフレット見せて。下調べしたメモ帳でもいいよ」
「……恥ずかしいから嫌だ」
「なーに言ってんの今更。せっかく調べてくれたんだもん、使わなきゃ。あ、あそこに座って決めよー」
近くにベンチがあったのでそこに座って、ふたりでパンフレットと俊くんのスマホを覗き込むことにした。