彼氏の好きなヒトになる方法


「……でも、見てたら少しずつ泣き始めて。子供みたいに顔くしゃくしゃにして小さく泣いてて、その姿がなんか、すごい印象に残ったんだよね」

「…………」

「そしたら、パスケース拾ってくれた。それが写真の女の子だったから、すごいびっくりしたんだよ」



俊くんは大事な思い出を語るように、やさしい顔で話してくれた。


私は驚いて、何も言えなかった。


……あのときにはもう、俊くんは私のことを知ってたってこと?



「自分でも理由はわからないんだけど、それから佳菜のことが気になって。写真の中の楽しそうな顔と、公園で見た寂しそうな姿が頭から離れなかった。……あの子に会ってみたいって、思ったんだよ」



繋いでいる手の分の空間を、一歩近づいてきた彼が埋める。


私は俊くんの足元しか見れなかった。


恥ずかしくて、嬉しくて泣きそうで、心がぐちゃくちゃになっていた。




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