彼氏の好きなヒトになる方法


普段、全くと言っていいほど人のいない公園なので、私の特に可愛くもない泣き声は、誰に聞かれることもない。


ず、ず、と鼻をすすりながら、私は泣いた。


涙を拭う袖が濡れていく。だけどふいに近くで、ザ、と砂を踏みしめる音がして、ハッとした。


パッと前を向くと、ここから4メートルくらいの距離に人が歩いていた。


制服姿なので、たぶんどっかの高校の男子高校生だろう。


やば、恥ずかしい。全然気づかなかった、いつからいたのかな。


公園でひとりで泣いてる、ヤバイ女がいると思われただろうか。まあ他校だからいいんだけどさ。



ーーあ。でもなんか、背丈とかうしろ姿とか、スラッとしててカッコいいな。



先輩みたいだ、と思いながら無遠慮に眺めていたら、その人のリュックサックからぽとりと何かが落ちたのが見えた。




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