彼氏の好きなヒトになる方法
+ 彼の好きなヒト -俊side-
「好きです。付き合ってください!」
今月、何度目だろうか。
示し合わせているのかと思うほど同じ場所に呼び出して同じことを言う女の子を目の前にしたのは。
二年に進級したばかりの四月、クラス替えがあってみんなが浮き足立っている。だからなのか、今月に入って告白された回数はすでに五回を超えていた。
だけど俺の心は特に波立つことはなく、名前も知らない女の子を前にして決まりきった言葉を口にするだけだ。
「ごめん」
普段はしっかり考えてから発言するタイプだけど、こればかりは悩む余地もないので即答だ。
女の子は俺の言葉を聞くと驚いた顔をして、みるみるうちに瞳に涙を溜めた。