彼氏の好きなヒトになる方法



「えと、あの、わた、私でよければ……」



混乱のまま、そんなことを言っていた。


あ、と思った時にはもう遅い。



「……ありがと。じゃあ、これからよろしく。……もうそろそろ遅いし、帰ろうか」



そう言って、俊くんは席を立った。


「そう、だね……」


私は顔を熱くさせたり青ざめさせたりを繰り返しながら、混沌とした脳内で、とりあえず大変なことになった、ということは認識できた。


その後の記憶があまり定かではない。


俊くんが私を心配そうな目で見ながら、「家どこ?送ってく」とか「次、会える日ある?」とかなんかすごいことを言っていた気がするけど、なんて返事をしたのかすら覚えていない。




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