彼氏の好きなヒトになる方法

「じゃあ、せっかく彼女にしてもらったから、俊くんのこといっぱい楽しませられるように、頑張るね」



瀬戸先輩のこと、話してよかった。


やっぱりこの人は優しい人だ。聞いてくれてありがとう。


俊くんはニコニコしている私を、何故かしばらくの間、ちょっと驚いた顔で見ていた。


そしてそれから、ふっと笑った。本当に。無意識なのかなってくらい、自然に、柔らかく。



「じゃあ俺も、頑張る」



……あ。

ダメだ、まずい。



このままじゃ落ちる。



本気になってしまう。好きになってしまう。


そしたら、楽しむどころじゃなくなるのに。


これが恋になったらきっと、瀬戸先輩のときみたいに楽しむことができない。


だって私たちの関係はもう、近すぎる。



近すぎて、今から恋にするには苦しすぎるよ。